
AI MARKETING LAB|2026.10.27
AIが自社ブランドを覚える時代へ
Gemini新機能から学ぶ、中小企業のAIブランド戦略7つの準備
SNS投稿は青、ホームページは紺、営業資料は緑。担当者が変わるたびに、言葉遣いもデザインも変わってしまう。中小企業では珍しくない悩みです。
生成AIを使えば文章や画像は速く作れますが、毎回違う雰囲気で発信してしまえば、ブランドの印象はむしろ散らばります。
2026年10月20日、Googleは中小企業向けGeminiの新しいツールを発表しました。企業向けの専用ハブに加え、Webサイトやブランドキット、フォント、カラーパレットなどを基にスタイルを設定し、継続的な制作へ活用する仕組みを紹介しています。
Google Business ProfileやGoogle Workspaceなど、業務で使うサービスとの連携も案内されました。
今回の本質は「画像がきれいに作れる」ことではありません。AIへ会社らしさを渡し、企画から制作、発信、改善まで一貫させる考え方です。中小企業はどこから着手すべきでしょうか。
Googleが10月20日に発表した中小企業向けGeminiの新機能
ブランドを毎回説明しなくてもよい制作環境へ
Googleの公式発表によると、GeminiではWebサイトやブランドキット、フォント、色の指定などを用いてブランドスタイルを定義できます。
画像生成モデル「Nano Banana 2.1」と組み合わせ、販促キャンペーンや日々の発信に使うビジュアルを、同じブランド表現で制作しやすくする構想です。
また、企業向けの専用ページから、ブランドづくり、顧客理解、財務情報の可視化などに取り組めるとしています。
アプリ連携ではGoogle Business Profile、Google Ads、Google Workspaceのほか、Adobe、Canva、Dropbox、Wix、Zohoなどが紹介されています。
これはすべての機能が日本の全アカウントで同時に利用可能という意味ではなく、地域や契約、接続先によって差があります。
「AIで作る」から「AIにブランドを理解させる」へ
従来は投稿のたびに「水色を使って」「丁寧な文章で」「経営者向けに」と指示していました。
これからは会社の基準を先に整え、その情報を使って複数媒体の原稿や画像を作る運用が重要になります。
ただし、AIが自社の強みを勝手に正しく把握するわけではありません。元になる情報を人が確認し、更新することが前提です。
中小企業がAIに渡すべき7つのブランド情報
1.WHO|誰に届ける会社なのか
まず顧客像を明文化します。「すべての企業向け」では広すぎます。
例えば「専任のマーケティング担当者がいない従業員10〜50人の企業」「問い合わせを増やしたいサービス業」など、業種、企業規模、課題、意思決定者を具体化します。
AIへターゲットを渡せば、文章の難易度や訴求ポイントを揃えやすくなります。
2.VOICE|どんな言葉で伝えるのか
ブランドの口調を3〜5個のルールにします。
「専門的だが分かりやすい」「誇大な断言をしない」「現場で使える例を入れる」などです。
使ってよい言葉、避けたい表現、敬語の程度、見出しの長さも決めます。AIが出した文章を人が直す際の共通基準にもなります。
3.COLOR|見た目の一貫性をどう保つか
ロゴ、ブランドカラーのHEX値、補助色、フォント、余白、写真の雰囲気、SNSサムネイルの比率を1枚にまとめます。
11UPFIELDならライトブルーと白を基調に、濃紺で情報の優先順位を示す、といった指定です。
文字の可読性やスマートフォンでの見え方まで確認しましょう。
4.OFFER|何を提供し、何が違うのか
サービス名を並べるだけでなく、対象、提供範囲、導入の流れ、料金の考え方、他社と異なる点を整理します。
「AIマーケティング支援」と言うだけでは、AIは具体的な投稿案を作りにくいものです。
何をどこまで支援し、顧客はどんな状態を目指せるのかを説明します。
5.PROOF|実績と根拠をどう示すか
制作事例、顧客の声、改善前後の数値、担当者の経験を用意します。
数字には期間や計測条件を付け、掲載許可の有無も管理します。
AIがそれらしい成果や口コミを創作しないよう「提供資料にない実績は書かない」と明示してください。
信頼の基礎は生成物ではなく一次情報です。
6.RULE|AIに任せないことを決める
公開前の承認者、個人情報の扱い、機密情報の入力可否、著作権・商標・薬機法などの確認項目を決めます。
顧客名や未公開売上を安易に入力しない、価格は最新の資料で照合する、生成画像は権利や誤認リスクを点検する、といった運用ルールが必要です。
外部アプリ連携は権限と共有範囲を確認してから使います。
7.KPI|何を成果として測るのか
投稿本数や制作時間だけでは成果を測れません。
ブランド指名検索、Webサイトへの遷移、問い合わせ、資料請求、商談化率など、事業目的につながる指標を決めます。
例えばSNSからのサイト訪問を月100件増やす目標なら、媒体別のクリック数と問い合わせ数を一緒に見ます。
数字はあくまで自社の目標値として設定します。
AIを使ったコンテンツ制作を「1本の企画」から始める
ブランドシートを作り、媒体別に展開する
最初に上記7項目をA4一枚程度にまとめます。
そのうえで「中小企業がAIでSNS運用を始める方法」というテーマを決め、AIへ記事の構成、Instagram投稿、LinkedIn向け解説、営業資料の見出しを作らせます。
媒体ごとに表現は変えても、対象顧客・サービス内容・約束する価値は変えません。
実務では「ブランドシートにない実績や料金は補わない」「不明点は要確認と表示」「各媒体の文字数とCTAを変える」という指示を加えると、修正がしやすくなります。
画像についても色やフォントだけでなく、写真の人物像、図解の密度、ロゴの余白まで指定します。
人が最後に見るべき3つのチェック
第一に事実です。料金、機能、実績、最新ニュースの日付が正しいか。
第二にブランドです。言葉遣い、デザイン、主張が会社の方針と合うか。
第三に導線です。投稿を見た人がどのページへ進み、何をすればよいか分かるか。
この3点を満たして初めて、AI制作をマーケティングへ接続できます。
30日で実装するAIブランド運用の進め方
1週目は現状調査です。ホームページ、Instagram、会社案内、営業資料を並べ、色、口調、サービス説明の不一致を探します。
2週目は7項目のブランドシートを作成し、代表者と現場担当者が承認します。
3週目は同じテーマから記事1本、SNS投稿3本、営業用の図解1枚を試作します。
4週目に公開し、制作時間、修正回数、サイト遷移、問い合わせを確認します。
改善の順序は「AIツールを契約する」より「会社情報を揃える」が先です。
新機能を使えない場合も、承認済みのブランドシートを現在利用している生成AIへ渡し、同じワークフローを小さく検証できます。
実際に使える機能、データの保存条件、外部連携の権限は導入時に確認してください。
編集部コメント|AIに覚えさせる前に、会社らしさを言語化する
今回のGoogle発表で注目したいのは、画像生成の進化以上に「企業のブランド情報を継続して活用する」という方向性です。
中小企業では、経営者の頭の中にある強みや判断基準が、制作担当者や外注先へ十分伝わっていないことがあります。
AIはそのギャップを埋める助けになりますが、何を伝える会社なのかを決めるのは人です。
AIに会社らしさを覚えさせることは、ブランドをAI任せにすることではありません。
経営者、営業、Web、SNSの間で共通言語を持ち、発信の品質を安定させること。そこから問い合わせにつながる運用を始めましょう。
株式会社イレヴンアップフィールド|AIマーケティング研究 編集部
まとめ|ブランドを整えてからAIで広げる
Geminiの新機能は、中小企業のAI活用が「一回きりの文章作成」から「会社の情報を使った継続的なマーケティング運用」へ進む方向を示しています。
WHO、VOICE、COLOR、OFFER、PROOF、RULE、KPIの7項目を整え、まずは一つの企画をWeb・SNS・営業資料へ展開してください。
AIが作る量より、顧客に伝わる一貫性と問い合わせまでの導線を大切にすることが成果への近道です。
AIで作るだけでなく、ブランドを揃える運用へ。
株式会社イレヴンアップフィールドは、AI活用SNS運用、ホームページ制作、コンテンツ制作、PR支援を一つのブランド設計としてご相談いただけます。
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